あるお豆腐屋さんの前向きな勇退
2010年 04月 13日我が家のすぐ近所、住宅街の真ん中に、ポツンとお豆腐屋さんがある。
私の小さい頃からあった。
その頃はおじさんがやっていたのだが
今はおじさんの娘さんが後を継いでやっている。
ただし、娘さんと言っても、もう初老である(たぶん)
そのおばさんは、小柄で、ショートカットで、サバサバして、
独身で、赤のちょっといい感じの車に乗っていて
お豆腐屋のおばさんにしては、ちょっと存在感があるなあとは思っていた。
それでも朝早くから一人で黙々とお豆腐を作っていた。
ところが突然お豆腐屋さんは、3月末日で閉店になった。
たぶんお店は50年くらいはやっていたと思う。
とうとう閉店したなぁ・・・と思った翌日、早朝。
大きなトラックがやってきて、そのお豆腐屋さんの機材を運び出していった。
そしてよく見ると、そのお店の裏手には新しい平屋の家屋が建っている。
おばさんは、閉店と同時に、新しく生活を始めるべく、
どんどん物事を進めているらしい。
今朝。そのおばさんとばったり会った。
しかしおばさんは脇目もふらずに一心不乱で歩いて行ってしまった。
声をかける余地もない。
その後お店の前を通ると、解体作業が始まっているではないか。
おばさん、立ち会わなくていいのかしら・・・
いやもしかすると、
50年近く、渾身の力でやってきたお店の最後を見たくなくて、
さっきどこかへ行ったのではないかしら・・・
詳しいいきさつは全く知らない、勝手な想像。
でも伺いみる限り、なんと前向きな勇退なんだろう。
お豆腐の注文で話したことしかないおばさんだが、
その生き様が、すがすがしい。
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